肩の痛みについて 〜解剖・原因・対処法を解説〜
こんにちは。
今回は、来院される方の中でも頻度の高い「肩の痛み」についてご紹介します。
肩の解剖:どんな構造になっているの?
肩は、肩甲骨・鎖骨・上腕骨の3つの骨と、それを支える多くの筋肉・靭帯・腱で構成されています。
特に重要なのが「肩関節(肩甲上腕関節)」と「腱板(けんばん/ローテーターカフ)」という4つの筋肉の集まりで、これらがスムーズな動きを支えています。

肩の痛みに関係する主な疾患
以下のような疾患が肩の痛みの原因となることが多いです。
- 肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)
肩の動きがどの方向でも制限され、痛みが強くなります。特に夜間痛が特徴的。
四十肩・五十肩は発症する年齢の違いで呼び名が変わっているだけです。 - 腱板損傷
肩のインナーマッスル(腱板)が断裂・炎症を起こし、動かすたびに痛みが出ます。
特に挙上制限、筋力低下、などがあります。 - 肩関節インピンジメント
肩関節の内部で、滑液包、骨同士や軟骨、靭帯が衝突したりこすれたりする。
90度以上腕を上げると痛みが出る。後ろに上げられないなど。 - 石灰沈着性腱板炎
腱板内に石灰(カルシウム)が沈着し、強い痛みを伴います。
突然痛み出し、じっとしてても痛い。 - 肩関節脱臼・不安定症
外傷や繰り返しの使用で関節が緩くなり、痛みや脱力感が出ます。
肩の痛みの原因とは?
- 加齢による変性(腱板の摩耗・断裂)
- 転倒など外傷性のもの
- 姿勢の悪さ・猫背(肩甲骨の動きが悪化)
- スポーツや重労働による使いすぎ
- 血行不良や冷えによる筋肉のこわばり
これらが複雑に絡み合い、肩の不調につながります。
夜間痛はなぜ起こる?
肩の痛みの中でも「夜にズキズキして眠れない」という声はとても多いです。
夜間痛は、以下のような理由で起こります。

- 副交感神経の活性化:夜になると、副交感神経が優位になり、体がリラックス状態になります。この副交感神経の活性化により、感覚が敏感になり、痛みを強く感じやすくなります。
- 体温の低下:夜は体温が低下し、筋肉が硬くなりやすくなります。これにより、筋肉の緊張が強まり、痛みが増すことがあります。
- 血行の悪化:寝ている間は、日中に比べて体を動かす機会が減るため、血行が悪くなりやすくなります。特に、横向き寝をすると、下になっている側の関節に圧力がかかり、血行が悪くなることで、痛みが増すことがあります。
- 肩関節の圧迫:横向き寝で肩関節を圧迫することで、関節内の圧力が上昇し、痛みを引き起こすことがあります。
- 寝返りによる刺激:寝返りなどの動作で、関節や筋肉に圧力が加わると、痛みを引き起こすことがあります。
これらが複合的に作用し、夜間に痛みを強く感じやすくなります。
🔥 急性期(発症直後〜数日〜1週間ほど)
特徴
- 動かすと激しい痛み
- 夜間痛が強い
- 熱感や腫れがある場合も
- 日常動作が困難になる
主な原因
- 腱板損傷・石灰沈着性腱板炎・外傷炎症期
- 四十肩・五十肩の炎症初期
対処法
- 安静にする
無理に動かすと悪化します。痛みのある動作は避け、患部を休ませましょう。 - アイシング(冷却)※熱感がある場合のみ
1回15〜20分、1日数回まで。炎症を鎮めます。 - 三角巾などで肩を保護
特に腕の重さで痛みが強い場合は、吊ることで負担を軽減できます。 - 就寝時の姿勢を工夫
痛みのない側を下にして、抱き枕やクッションを使って腕を安定させます。

5.早めに専門家に相談
急性期に正しく対応すれば、回復が早くなります。
当院にお越しの石灰沈着性腱板炎の患者さんでは、アドバイスの結果、専門医による注射によって即座に痛みが軽減されました。症状に応じた適切な判断が重要だと感じたケースです。
🌿 慢性期(数週間〜数ヶ月続く痛み)
特徴
- 動かすと違和感や鈍痛
- 可動域が狭くなっている
- 長時間の同姿勢でこりやすい
- 腕や首などにだるさや鈍痛
- 夜間痛が落ち着いてくる場合も
主な原因
- 肩関節周囲炎(拘縮期・回復期)
- 腱板の加齢変性・過使用
- 姿勢不良・肩甲骨の動きの悪さ
- 特定の筋の筋緊張亢進
対処法
- 温めて血流改善
温湿布や入浴が効果的です。肩周囲の筋緊張を和らげます。 - ストレッチ・体操
肩甲骨の動きを意識した運動がおすすめです。無理せず徐々に範囲を広げましょう。

水を入れた500mlのペットボトルを痛い方の手に持ち、図のような体制で内向きに10回、外向きに10回リズミカルに動かします。
内外10回1セットを3回チャレンジしましょう。痛みの出ない範囲で行います。

図のような体制で内回し10回、外回し10回交互に行います。3セットやれば十分、空き時間を有効活用。肩こり予防の体操にも!
参考動画:クリックすると科研製薬のYouTubeチャンネルへリンクします
(基本的な運動が紹介されています。無理なく出来る運動を毎日コツコツ行ってください)
※参考/科研製薬YouTubeチャンネル
3.姿勢の改善
デスクワークやスマホ操作による猫背は、肩の可動性を悪くします。背骨〜骨盤の位置も見直しましょう。

4.軽い筋トレや自重運動
肩を支えるインナーマッスルを刺激して、安定性を高めます。
5.リラクゼーション・自律神経ケア
慢性の痛みにはストレスや睡眠の質も関与します。深呼吸やヒーリングミュージックなども◎
✅ 注意点
- 急性期には温めない、慢性期には冷やしすぎない
- 痛みを我慢しての体操、ストレッチは逆効果になることも
- 長期化している場合は、原因が複合的なことも多いため専門的な評価が必要です
最後に
肩の痛みは放っておくと慢性化し、日常生活に大きな支障をきたします。
自宅で毎日運動を行うことが改善への近道となります。
当院では、運動のアドバイス・姿勢・筋肉バランス・自律神経のケアを組み合わせ、根本改善を目指しています。
お悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。




