古傷・慢性痛とは? それぞれの正体と“痛み”の本当の関係を深掘り


こんにちは。
日々の施術を通じて「昔のケガが今も痛む」「長年の腰痛がなかなか良くならない」というお声をよく耳にします。

今回は、その“痛み”の背景にある「古傷」と「慢性痛」について、それぞれの特徴と深い関係性を解説していきます。

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「古傷」とは? ― 昔のケガがなぜ今も痛む?

●古傷=治ったはずなのに残る痛み

古傷とは、過去にケガや手術などで損傷した部位が、治癒後も違和感や痛みを残している状態を指します。
例:

  • 何年も前の捻挫跡が雨の日に痛む
  • 骨折後の関節が季節の変わり目にうずく

●なぜ古傷は痛み続ける?

主な理由としては以下のようなものがあります:

  • 組織の瘢痕化(はんこんか)
     → 筋膜や靭帯が硬くなり、柔軟性を失っている。
  • 神経過敏の残存
     → 損傷部位周辺で神経が敏感になっている。
  • 周囲の代償動作
     → かばう動きが慢性の歪みを生み、再発の原因に。

「慢性痛」とは?

●慢性痛=3カ月以上続く痛み

医学的には、3ヶ月以上持続する痛みを「慢性痛」と定義します。これは、原因となる損傷が治っても、痛みの信号だけが脳に残り続けてしまう状態です。

●慢性痛のメカニズム

慢性痛の原因として真っ先に挙げられるのが、痛みの“記憶”が残る状態です。
 


■ 痛みの“記憶”が残るとは?

痛みは単に体のどこかが傷ついているだけでなく、脳や神経がその「痛みの体験」を覚えてしまうことで、症状が続く場合があります。これが「痛みの記憶」です。

●【例】幻肢痛(げんしつう)

幻肢痛とは、**ケガや病気で手足を失った後にも「ないはずの手や足が痛む」**という現象です。
実際には存在しない部位のはずなのに、脳が“そこにまだ痛みがある”と感じてしまうのです。

この現象は、脳が過去の痛みや感覚を強く記憶し、それを「実際の痛み」として再生してしまっている状態ともいえます。


■ 慢性痛にも似たメカニズムが

幻肢痛ほど極端ではなくても、慢性腰痛や肩こりなどでも、

  • 「以前痛めた場所がずっと痛い」
  • 「検査では異常がないのに痛みが続く」

といった症状が出る場合、脳に痛みの記憶回路が残ってしまっている可能性があります。
これが、慢性痛やセントラルセンシタイゼーションの根本原因となるのです。

● セントラルセンシタイゼーションとは?

「痛みの信号が脳や神経に過剰に残り続けてしまう現象」です。

本来ならケガが治れば痛みも治まるはずですが、この状態では、

  • ちょっとした刺激(服が触れる、風が当たる)
  • 痛みのないはずの動きや姿勢

でも 「痛い」と感じてしまう のが特徴です。


●なぜ起こるの?

  • 長引く痛みやストレスが続く
  • 睡眠不足や疲労が蓄積する
  • 不安や恐怖心が強い

などが続くと、脳や脊髄が過敏になり、痛みを過剰に感じやすくなってしまうのです。


● 例えるなら…

「火災報知器が壊れて、ちょっとの煙でも大きな警報が鳴ってしまう」ような状態。
つまり、本当は大丈夫なのに、体が“過剰反応”してしまっているのです。

古傷と慢性痛の共通点と違い

観点古傷慢性痛
原因外傷歴(骨折・捻挫など)明確なケガがない場合も多い
痛みのタイミング天候、動作、季節で再発常に痛みがある、波がある
原因部位局所的(特定の関節や筋肉)広範囲または移動性あり
関連要素組織の硬さ・癒着自律神経、ストレス、睡眠など

慢性痛に“古傷”が関与していることも!

興味深いことに、古傷が慢性痛の引き金になることも多くあります。
たとえば、若い頃の足首の捻挫が元で歩行に歪みが生じ、それが膝・腰・肩へと波及。最終的には慢性的な全身の痛みや不調につながる…というケースです。


どうすればこの“痛みの連鎖”を断ち切れるのか?

◎筋膜・関節のリリースで古傷の硬さを解消

→ リンパ循環や動きの改善で再発予防にもつながります。

◎脳と神経へのアプローチ

→ 慢性痛の背景にある“痛みの記憶”をリセット。

◎呼吸、自律神経、睡眠の質を見直す

→ 緊張とストレスを取り除き、体内環境から整える。

◎運動療法

運動療法はセントラル・センシタイゼーションに対して非常に効果的です。むしろ、「動かさない方が悪化する」ケースすらあります。もちろん、段階的・慎重なアプローチが前提ですが、神経系の再教育痛みに対する脳の認知の修正という面で、運動は欠かせない柱になります。


なぜ運動療法が効くのか?

1. 痛みの“脳内記憶”を上書きする

慢性痛では「その動きをすると痛い」という脳の誤学習が起こっていることがあります。
運動を通じて「この動きは怖くない」「これは痛くない」という体験を積み重ねることで、脳の痛み記憶を上書きできます。


2. エンドルフィンやセロトニンの分泌

有酸素運動やリズミカルな運動は、**脳内の鎮痛物質(エンドルフィン)や幸福ホルモン(セロトニン)**を分泌し、痛みに対して脳が鈍感になります。


3. 自律神経の調整

ゆっくりとした呼吸を伴う運動(例:ヨガ、ピラティス、太極拳、胸郭の拡張ストレッチ)は、交感神経の過活動を抑え、副交感神経を優位にするため、セントラルセンシタイゼーションの悪循環を断つ効果があります。


運動療法の実践ポイント

方法解説
グレーデッド・エクササイズ(段階的運動)初めはごく軽い動きからスタート。できたという成功体験が大切。
ミラーボクシングやイメージ運動鏡を使ったリハビリや、動きをイメージするだけでも脳には刺激が入る。
音楽と組み合わせるリズミカルなBGMに乗せて動くことで、恐怖心を和らげやすい。特にLoFiや中庸テンポの曲が◎。
胸郭ストレッチ・呼吸運動呼吸を深くすることで自律神経系に直接アプローチできる。

🚫 注意点

  • 無理に痛みを我慢して動かすのは逆効果
  • 「今日はここまでできた!」というポジティブな体験を重視
  • 運動後に痛みが強くなるようなら内容を調整(量・タイミング)

音楽×運動療法の提案

  • 朝のウォーミングアップ → 軽快なボサノバ
  • 昼の活動的な時間帯 → さわやかフュージョン
  • リカバリータイム → LoFiや528Hz

※これらは痛みの「情動フィルター」に働きかける力を持つため、脳の“痛みモード”を切り替える鍵になります。


🔚 結論

運動療法はセントラルセンシタイゼーションの改善に非常に有効。
適切な段階と環境(音・安心)を整えれば、脳の痛み記憶を書き換える「自然な薬」になる。

YouTube音の整体プログラムでは運動療法に使用できるボサノバやフュージョン音楽を配信中


まとめ

古傷も慢性痛も、単なる「その部位の問題」ではなく、
身体全体、さらには心の状態とも密接に関係しています。

「もう治らないかも…」と諦める前に、
一度、痛みの“ルーツ”を一緒に見直してみませんか?

当院では痛みの改善、お手伝いいたします。お気軽にご相談ください。