【手当ての力】~手が持つ癒しの効果と自律神経との関係~
私たちが誰かをいたわるとき、自然に出る行動のひとつに「手を当てる」があります。お腹が痛いときに無意識に手をあてたり、子どもが転んだときに「痛いの痛いの飛んでいけ」と手を添えたりするのも、まさに「手当て」の原点です。
今回は、「手の持つ癒しの力」について、昔からの知恵と現代の科学的研究を交えながらご紹介します。
「手当て」は日本語ならではの癒しの言葉

「手当て」という言葉は、日本語独自の温かみある表現です。本来、「治療・ケアする」という意味ですが、語源をたどると、「痛む場所に手を当てる」という非常にシンプルな行為に由来しています。
それだけで気持ちが安らぐ、不思議な力が「手」にはあるのです。
手の温もりがもたらす癒し効果
温かい手で触れられることで、相手の心と体にさまざまなポジティブな変化が生まれることが分かっています。
● オキシトシンの分泌
触れることで、「幸せホルモン」とも呼ばれるオキシトシンが分泌されます。これは不安を和らげ、心拍や血圧を安定させる働きがあります。
● ストレスホルモンの抑制
優しく手を当てる行為は、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑え、自律神経のバランスを整えることが報告されています。
科学的にも認められ始めた「手の力」

近年では、タッチング(触れること)の効果についての研究も進んでいます。
- 皮膚のC触覚線維という神経が、心地よいスキンシップに反応し、リラックス状態をつくるという発見があります。
- また、タッチングは副交感神経(リラックスの神経)を優位にし、交感神経(緊張・ストレスの神経)を落ち着かせる作用があるともされています。
つまり、「手を当てる」行為は、単なるおまじないではなく、神経系・ホルモン系に直接作用する科学的な癒しなのです。
昔からある手当ての文化
日本のみならず、世界中で「手当て」は古来から自然な治療法として使われてきました。
- 東洋医学では、「気(エネルギー)」の流れを整えるために手を使います。
- キリスト教圏では「手を置いて祈る」という癒しの儀式が存在します。
- インドでは「プラーナ(生命エネルギー)」を手から送るヒーリングが古代から行われています。
このように、宗教・文化・医療が一体となって「手の癒し」を活用してきた歴史があるのです。
手を当てるだけで、自律神経が整う?
実際に、温かい手をお腹や胸にそっと当てるだけで、呼吸が深くなり、副交感神経が優位になるという反応が観察されています。
現代の私たちは、スマホや仕事のストレスで交感神経が優位になりがち。そんなときこそ、「自分の手で自分を癒す」時間を取ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
最新の医療技術もすばらしいですが、癒しの原点ともいえる「手当て」という行為が持つシンプルで深い癒しの力も、あらためて見直す必要があります。
- 心が疲れたとき
- 子どもが泣いているとき
- 自分の体に不調を感じたとき
そっと手を当ててみてください。
温かさと共に、心も体もゆるんでいくのを感じるはずです。



