肩こりの原因は“重力”?関係する筋肉・神経と対処法まとめ

多くの人が悩む「肩こり」。
マッサージしてもすぐに戻ってしまう、頭痛や腕のしびれまで出てくる――そんな経験はありませんか?

実は肩こりは、単なる筋肉疲労だけでなく、重力との関係や**神経の圧迫(絞扼)**など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。

この記事では、肩こりの本当の原因と、当院おすすめ座ってできる体操を解説していきます。


肩こりの原因は「重力との戦い」

私たちは起きている間、常に**重力に逆らって姿勢を保つ筋肉(抗重力筋)**を使い続けています。

肩こりが起きる仕組み

  • 頭の重さは約5〜6kg(ボウリングの球1個分)
  • その重さを首・肩・背中の筋肉が常に支えている
  • 姿勢が悪くなると、筋肉の負担はさらに増大
  • 結果として、血流が悪化し「凝り」や「痛み」が生じる


特に、スマホやパソコン作業では、首が前に出た姿勢(ストレートネック)になりがちで、肩こりが慢性化しやすくなります。

肩こりの原因筋肉

肩こりに深く関係する代表的な筋肉はこちら

筋肉名特徴・役割
僧帽筋(そうぼうきん)首〜背中に広がる大きな筋肉。肩をすくめる動きに関与。
肩甲挙筋(けんこうきょきん)肩甲骨を上に引き上げる。首の付け根が硬くなりやすい。
頭板状筋(とうばんじょうきん)首の後ろの深層筋。長時間の前傾姿勢で緊張。
菱形筋(りょうけいきん)肩甲骨と背骨をつなぐ。姿勢の維持に重要。

これらの筋肉が硬くなることで、肩の重だるさや、首〜背中の痛みへとつながっていきます。


深堀、肩こりと神経の絞扼(こうやく)ポイント

※絞扼=神経が筋肉や骨などで圧迫されること

肩こりがひどくなると、単なる筋肉痛にとどまらず、放散痛(離れた場所の痛みやしびれ)を引き起こすことがあります。

よくある神経絞扼部位と症状

絞扼部位絞扼されやすい神経典型的な症状
斜角筋部(首の側面)腕神経叢(わんしんけいそう)肩〜腕のしびれ・脱力感
小胸筋部(胸の上部)正中神経など手のしびれ、握力低下
胸鎖乳突筋、僧帽筋深部副神経首、肩が動かしにくい、だるさ
肩甲骨周囲肩甲背神経肩甲骨内側のうずくような痛み

筋肉の硬化や姿勢不良が原因で、神経が圧迫され、上肢にも痛みやしびれが広がることがあります。


🩸 肩こりは「全身の血流」も影響している?

肩こりは単なる「筋肉の疲れ」と思われがちですが、実は全身の血流も密接に関係しています。


💡 血流が悪いと「老廃物」が滞る

筋肉が緊張して硬くなると、周囲の毛細血管が圧迫され、血液の流れが悪化します。
その結果、筋肉に必要な酸素や栄養が届かず、疲労物質や老廃物がたまりやすくなるのです。

この状態が続くと…

  • 肩の重だるさ・痛み
  • 頭痛や目の疲れ
  • 手足の冷えや全身のだるさ

といった全身的な不調にもつながります。


📖 プチエビデンス紹介

日本自律神経学会の報告や、整形外科分野の臨床研究でも
「肩こりと血行障害の相関」「交感神経緊張による末梢血流の低下」などが示唆されています。



🔬 交感神経の緊張で血流はどうなる?

私たちの体は、自律神経(交感神経と副交感神経)によって無意識のうちにさまざまな機能が調整されています。

💡 交感神経が優位になると…

交感神経は「戦う・逃げる」モードをつかさどる神経で、ストレスや緊張、集中状態などで活性化します。

このとき体内では:

  • 心拍数が上がる
  • 呼吸が浅く速くなる
  • 末梢血管(筋肉・皮膚など)を収縮させ、血流が低下する

という変化が起こります。


🧊 筋肉が冷える、固くなる

特に肩まわりの筋肉(僧帽筋や肩甲挙筋など)は、ストレスによって交感神経の影響を受けやすいと言われています。

交感神経が緊張した状態が続くと:

  • 筋肉の血流が悪化
  • 酸素や栄養が届きにくくなる
  • 疲労物質(乳酸や老廃物)が蓄積
  • 筋肉がこわばって「コリ」や痛みにつながる

🔄 血流を促すことが根本改善に

そのため、肩こり対策にはマッサージやストレッチだけでなく、全身の血行を促すことがとても重要です。
軽い運動、温め、深呼吸などの習慣で「巡り」を良くすることが、慢性的な肩こりの根本改善につながります。

3分でできる、オフィスでの肩こりの対処法

1. 姿勢改善が第一歩

  • 顎を引いて、耳・肩・骨盤を一直線にする意識
  • 長時間同じ姿勢を避け、1時間に1回は体を動かす

2.セルフケア方法

足首を90度にした状態でゆっくり膝を伸ばしていきます。左右交互に10回ずつ行います。ふくらはぎを伸ばし下半身の血流改善。

手を組んだ状態で息をゆっくり吸いながら手を前に伸ばします。この時肩甲骨を背中からはがすイメージで。
息をゆっくり吐きながら伸ばした腕を胸に引いてきます。この時肩甲骨を背中に寄せるイメージで。
回数は5回程度行います。

両手を肩の上に置いて前回し10回、後ろ回し10回行います。

肩甲骨を大きく動かしましょう。ゴリゴリと音が鳴るかもしれません。オフィスでは周りを少し気にしましょう。


椅子に座った状態で左右に身体を倒し脇腹を伸ばします。伸びてる感覚があれば大丈夫!5回ずつ行いましょう

しっかり腕を上げます。リズミカルに20回程度やってみましょう。肩が痛い人は無理なく上がる高さでやってみましょう

ゆっくり首を回します。右回し、左回し交互に5回行います。この時首に痛みや腕にしびれが出る人、めまいの出る人は即座に中止してください。

オフィスで立ち上がっても大丈夫なら、つま先立ち体操もおすすめ!10~20回行いましょう。
時間のある時はそれぞれの体操の回数を増やしてチャレンジしてみましょう。

このほか給水タイムやトイレ休憩などで立ち上がって歩くことも大切です。そして家庭でも毎日コツコツやってみませんか。

まとめ

「肩こり」はただの疲労ではなく、重力と姿勢の関係、筋肉の硬化、そして神経の圧迫など、さまざまな原因が関係していますが、肩こり改善には血流、つまり自律神経の安定が重要です。

交感神経の緊張をゆるめるためには

  • 深呼吸(腹式呼吸)
  • ストレッチや軽い体操
  • 入浴
  • 音楽や自然音を聴く など

自律神経のバランスを整えることで、根本改善に近づきます。

つらい肩こりを「仕方ない」とあきらめず、自分の身体と向き合うことが、健康への第一歩です。

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