続々・音効時代の定番CD
今まで紹介してきた曲はインストゥルメンタルが中心でしたが、テレビ番組に「ボーカル曲は使わなかったのか?」というと、実はそうではありません。
ただし、ボーカル曲の場合、歌詞の内容が問題になったり、声そのものが映像内のセリフやナレーションと重なってしまい、視聴者の意識が音楽のほうへ引っ張られてしまうことが多々あります。そのため、選曲にはよりセンスが求められるのです。
ADIEMUS(アディエマス)
皆さんはお笑いタレントのU字工事をご存じですか。彼らの漫才の中で、『とちぎテレビのプロデューサーの高野さん、知らねえのか~』みたいな内容でよく名前の出てくる高野さん、実は一緒に番組を制作したことがあるんです。
彼がまだディレクターだったころ、番組名は忘れましたが、栃木の日光の自然を1年間撮影した、とちぎテレビ開局何周年かのドキュメンタリー番組だったと思います。
その時のオープニングに使用したのがADIEMUS(アディエマス)です。
アルバム『The Journey, The Best of Adiemus』よりオープニングで使用した曲、”Cantilena ”を紹介したかったのですが、公式に曲がなく、他の番組でお世話になった曲”Hymm”を紹介します。
アディエマスは、イギリスの作曲家 カール・ジェンキンス(Karl Jenkins) によって1995年に始まった音楽プロジェクトです。クラシック、ワールドミュージック、ニューエイジを融合させた独自のスタイルが特徴的です。
コクトー・ツインズ
ニュースステーションの天気予報コーナーのBGMを選曲するのも大事な仕事でした。翌日の天気や温度などを参考にしました。
コクトー・ツインズは、1980年代から90年代にかけて活動したイギリス・スコットランド出身のドリームポップ/シューゲイザー系バンドです。メンバーはエリザベス・フレイザー(Vo)、ロビン・ガスリー(Gt)、**サイモン・レイモンド(Ba)**の3人が中心です。
最大の特徴は、エリザベス・フレイザーの幻想的なボーカルと、意味のある言葉を使わずに発音や響きで構成される独特な歌詞(時に架空語)、そしてリバーブ感の強い浮遊感のあるサウンドです。
アルバム『Four-Calendar Cafe』より”My Truth”を選曲した際の天気予報は日本全国雨模様でした。
エンヤ
ご存じの方も多いと思いますが、エンヤ(Enya)は、アイルランド出身のシンガー・ソングライターで、ケルト音楽にニューエイジ、クラシック、ポップスの要素を融合させた幻想的なサウンドで知られています。
代表曲には「Orinoco Flow(Sail Away)」「Only Time」「Caribbean Blue」などがあり、どれも透明感のある多重コーラスとシンセサイザーを駆使した独自の音世界が特徴です。
歌詞にはアイルランド語やラテン語なども用いられ、時間や自然、スピリチュアルな世界観をテーマにしたものが多く、映像作品やヒーリング音楽としても人気があります。
エンヤも音効業界では定番となり、番組内でも多々使用されておりました。これまた嬉しいことにYouTubeに公式チャンネルがあります。
WOWOWの番組、WOWOW TODAYで”世界の天気”という1コーナーがあり、そこで使用したのが、私が一番好きな曲、”Storms in Africa ”でした。
Holger Czukay (ホルガー・シューカイ)
先ほどお話ししたWOWOW TODAY、司会は小林克也さん。ベストヒットUSAやスネークマンショーなどで活躍されていた人物です。
そのスネークマンショーのアルバム『死ぬのは嫌だ、恐い。戦争反対!』の中にホルガー・シューカイの曲『Persian Love』が収録されておりました。
アルバムを友だちが買ったというのを聞いて、速攻でTDKのAD-Xカセットテープにダビングしてもらったことも、懐かしい記憶でございます。
WOWOW TODAYで世界の天気”のコーナーに使用いたしましたが、小林さんは苦笑いを浮かべていたとか、いないとか。
たまに内輪受けなども織り込みながら番組は放送されるのでした。
ホルガーシューカイの紹介ですが、ドイツの実験音楽家・ベーシストで、伝説的クラウトロックバンド**CAN(カン)**の創設メンバーとして知られています。
独自の音楽アプローチで、テープ編集やラジオ音源のコラージュ、フィールドレコーディングを取り入れるなど、早くからサンプリング的手法を用いた先駆的なアーティストで、後のアンビエントやエレクトロニカにも大きな影響を与えました。
この曲はウイスキーのCMで使用されていた記憶があり、聞いたことのある方もいるかもしれませんね。
40年以上前の曲なのですが、今聴いてもオリエンタルな雰囲気が癖になる美しい曲だと思います。
今日もテレビからは、さまざまな音楽が流れています。少し耳を澄ませてみると、懐かしい曲が聞こえてくるかもしれませんね。


